はじめに
仮想通貨の人気が高まるにつれ、税金問題がクローズアップされています。利益への高額な課税や複雑な計算方法など、投資家の悩みも多いようです。本ブログでは、仮想通貨の税金について詳しくご紹介します。抜け道はないものの、適切な対策で節税は可能です。ぜひ参考にしてください。
仮想通貨の税金計算
仮想通貨の収益は「雑所得」として課税の対象となります。株式等とは区別され、総合課税の対象となるため、他の所得と合算されて税率が決まります。
総合課税と税率
給与所得などの他の所得金額と合算されて総合課税の対象となるため、所得が高額になればなるほど高い税率が適用されます。最高で55%の税率となる可能性があります。
例えば、年収500万円の会社員が、仮想通貨で500万円の利益を得た場合、1000万円の総合課税対象所得となります。総合課税の税率は20.42%ですが、復興特別所得税を加えると実質23%の税率になります。従って230万円が仮想通貨利益への税金として課されることになります。
移動平均法と総平均法
仮想通貨の取得価額の計算は、株式投資と同様に「移動平均法」と「総平均法」のいずれかの方法が選択できます。移動平均法では、仮想通貨の売却ごとに取得価額を計算します。一方、総平均法では、保有する全ての仮想通貨の取得価額の平均値を算出し、その平均値を売却したものの取得価額とします。
一般的には、移動平均法の方が有利になる傾向にあります。例えば、100円で取得したビットコインを300円で売却した場合、総平均法では取得価額が200円(100円と300円の平均)となり、課税対象は100円の譲渡益になります。しかし、移動平均法では取得価額が100円のままなので、課税対象は200円の譲渡益となり、二重の利益に課税されることになります。
仮想通貨同士の交換
仮想通貨同士の交換についても、利益課税の対象となる点に注意が必要です。例えばビットコインとイーサリアムの交換時に、交換前後で価値が上がっていれば、その分が利益として課税されます。
内容 | 譲渡所得の計算方法 |
---|---|
売却 | 売却金額 – 取得価額 |
交換 | 交換後の時価 – 取得価額 |
このように、単に売買した場合だけでなく、交換の場合も利益が発生すれば課税対象になります。複雑な取引であるほど注意が必要です。
税金の抜け道はない
仮想通貨から得た利益に対する納税は、法的に義務付けられています。様々な規制や監視体制が整備されているため、海外取引所の利用など、税金を意図的に免れる「抜け道」はありません。
国内外の取引監視体制
国内の仮想通貨取引所は、顧客の取引履歴などの情報を国税当局に提供する義務があります。加えて、海外の取引所に関しても、租税条約に基づき情報共有が行われます。つまり、国内外を問わず、取引は税務当局に把握されています。
さらに、マイナンバー制度の導入により、金融機関などと税務当局の情報連携が進んでいます。預貯金口座の残高など、資産の隠匿が極めて困難になっています。このように、仮想通貨の利益を隠し立てにすることは事実上不可能です。
無申告への厳しい罰則
仮想通貨の利益に対する無申告や過少申告が発覚した場合、重い罰則が科されます。通常の所得税と同様、無申告加算税(15%~35%)や過少申告加算税(10%~15%)が課せられるほか、延滞税(年7.3%)も発生します。
実例として、2019年に大手取引所の利用者に対する追徴課税が相次ぎました。最悪のケースでは、利益を上回る金額の納税を求められた例もあり、投資家に大きな打撃を与えました。
海外移住は抜け道にならない
一部の投資家は、海外移住すれば日本での納税を免れられると考えがちです。しかし、日本への住民票のある限り、日本の税法の適用を完全に免れることはできません。
仮に海外に移住しても、日本に重要な資産を保有している場合や、親族が日本に在住していれば、日本での納税義務が生じる可能性があります。つまり、海外移住は、決して納税の「抜け道」にはなり得ません。
適切な節税対策
前述のように、仮想通貨の利益に対する納税は法的義務であり、抜け道はありません。しかし、それでも合法的な範囲内で節税対策を講じることは可能です。
各種控除の活用
一般的な所得控除のほか、仮想通貨投資に関連する様々な経費を「雑種経費」として計上できる可能性があります。取引手数料、専門家への相談料、PC・スマホ代、インターネット利用料、仮想通貨関連書籍代などがその対象になります。
また、ふるさと納税や確定拠出年金(iDeCo)、NISAといった優遇制度の活用で節税効果も期待できます。一人ひとりの事情に合わせて、様々な控除メニューを組み合わせることが重要です。
法人化による節税
大口の利益を得ている場合、法人化を検討するのも有力な節税策の一つです。法人税率は最高でも23.2%と低く抑えられるほか、損益通算や繰越控除なども可能になります。ただし、法人化には一定の手続き負担がかかります。
一例として、仮想通貨で年間1億円の利益があり、他に2000万円の給与所得がある場合を考えてみましょう。この場合、個人事業として扱えば最高税率55%の合計6500万円の所得税がかかります。しかし、法人化すれば3300万円の法人税で済むため、節税効果は3200万円と非常に大きくなります。
損益通算と繰越控除
仮想通貨は「雑所得」に区分されるため、損益通算の範囲は仮想通貨の取引に限定されます。しかし、仮想通貨同士であれば損益通算が認められています。売却損と売却益を通算することで、課税負担を軽減できます。
また、年間の損失がある場合、翌年以降3年間に渡って繰り越すことができます。この繰越控除を有効活用することで、将来の課税を軽減する対策になります。
まとめ
仮想通貨から得た利益に関する納税は、法的義務となっています。国内外の取引所の監視や無申告への厳しい罰則などから、抜け道を求めても無駄な努力にしかなりません。
一方で、取引経費の控除やふるさと納税、法人化、損益通算など、合法的な節税メニューは数多くあります。状況に応じて賢く組み合わせることで、大幅な節税が可能です。今後も仮想通貨への課税ルールは変更される可能性があるため、最新情報に注意が必要不可欠です。
よくある質問
仮想通貨の利益はどのように課税されますか?
仮想通貨の収益は「雑所得」として課税の対象となり、他の所得と合算されて総合課税の対象となります。最高税率は55%に及ぶ可能性があります。
仮想通貨の取得価額はどのように計算しますか?
取得価額の計算方法は「移動平均法」か「総平均法」を選択できます。一般的に移動平均法の方が有利になる傾向にあります。
仮想通貨同士の交換にも課税はありますか?
はい、仮想通貨同士の交換時にも、交換前後での価値上昇分が利益として課税の対象となります。
仮想通貨の利益を逃れる「抜け道」はありますか?
仮想通貨取引は国内外で厳しい監視体制にあり、利益を隠し立てにすることは事実上不可能です。ただし、合法的な節税対策は可能です。
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